むし歯とは、原因菌が糖を代謝することで酸を産生し、それによって歯が溶ける症状のことです。むし歯が発生するのは歯に付いた糖、口腔内のむし歯菌の存在、弱い歯質の3つの要素が揃ったときです。 むし歯菌は後天的に獲得するもので、赤ちゃんのお口の中にはいないと言われています。
まれにむし歯になりにくい人がいるのは、むし歯菌がほとんどいない口腔内環境のまま幼児期を過ごしたためだと考えられます。しかし誰しも歯が生えたてのときは、未熟な組織をしています。この状態は比較的酸に弱いため、むし歯に注意しましょう。これに対しては、
フッ素を塗布することで強化することができます。
糖と聞くと砂糖(ショ糖)を連想しがちですが、それだけでなく、はちみつ、ベリー類、ブドウ糖などもむし歯の原因となります。 ご飯やじゃがいもに含まれるでんぷんは唾液に分解されると糖になりますが、量が少ないため、ショ糖ほど直接的にむし歯を引き起こしやすくはないとされています。
果物に含まれる果糖も最終的に分解されてなるもので、そこまでむし歯リスクが高いわけではありませんが、
食べた後は口をゆすいだり、歯磨きをしたりすると、よりリスクを下げることが出来るでしょう。
エナメル質が透明感をなくして白濁しています。まだ、自覚症状はありません。フッ素入りの歯磨き粉を使って歯磨きをしっかり行うと治ります。
エナメル質が溶けて浅い穴が出来た状態ですが、まだ痛みはありません。むし歯を削って、形の修復を行います。この段階では無麻酔でも痛みを感じません。
象牙質までう蝕が進んでいます。冷たいものを口にするときにしみるため、むし歯の発生に気付きます。麻酔を使ってむし歯を削り、修復をします。
むし歯が象牙質を破壊し、歯髄(神経)にまで達しています。この段階にくると激しい痛みを感じます。神経を除去する根管治療が必要になります。
歯根までう蝕が進行しています。激しい痛みが消えたと思ったら、この段階に達している可能性があります。修復が難しいため、抜歯が必要となります。
痛みのないむし歯はまだ浅いため、削る際の麻酔は不要です。むし歯が深い場合は麻酔を施し、痛みを感じなくさせてから歯を削っていきます。
削った歯の型を採り、修復材をつくるための準備をします。小さい場合はコンポジットレジンという樹脂を歯に詰め、固めて治療終了です。
歯型を採ります。銀歯、セラミック、金歯などの被せ物があります。それぞれに特徴がありますので、何を適応するかはご相談して決めましょう。
技工所にて作製した被せ物・詰め物を実際に患者様の歯に仮に被せます。噛み合わせを確かめてから、セメントを付けて、装着します。これで治療の終了となります。
歯磨きは毎食後行うことが理想的です。歯垢を溜めないように、歯と歯肉の間も忘れずに磨きましょう。力を入れすぎると、歯肉が下がる原因となります。弱い力でブラシを歯に当てることが磨き方のコツです。ブラシは使っているうちに毛が湾曲し、毛先がボロボロになっていきます。そのまま使用していると、新品を使った場合よりも清掃力が落ちてしまいます。毛が反ってきたら買い替え時です。
家でできるケアは他にもデンタルフロスがあります。これは歯間を掃除する糸状のクリーナーです。適当な長さで切り取り、両手の指に糸の端を巻いて固定し、歯間に通して前後させることで食べカスや歯垢を落とします。歯間は汚れが溜まりやすい部位です。ここを清潔にすることで、
むし歯・歯周病リスクを減らすことが出来ます。
むし歯予防のケアは歯医者でも受けられます。それがPMTCというクリーニングです。これは「Professional Mechanical Tooth Cleaning」の略で、「歯科医師、歯科衛生士などが専用器具で行う歯のクリーニング」のことです。 クリーニングを行うことで、普段の歯磨きでは取れないような
バイオフィルムというヌメリが除去できます。
バイオフィルムは歯垢や細菌が形成するもので、清潔にしていないと蓄積されていきます。歯磨きは歯垢を落とすのに万能というわけではありませんので、取り残した汚れを除去するためにも、定期的なPMTCの受診をお勧めします。ゴム製の器具を用いますので、痛くみもなく安心です。
欧米の歯科先進国では歯が痛くなってから歯医者に行くという習慣がありません。代わりに、美容院のように定期的に歯医者に行き、掃除をしてもらったり、むし歯・歯周病がないか診てもらったりする定期検診が重視されています。このような国々でメンテナンスが熱心に行われるのは、歯科医療の現場において予防と診断が重視されているためです。
痛くなってから治療を受けることを繰り返していると、毎年むし歯が増えていき、歯周病が悪化し続け、どんどん歯を失う方向へと向かっていきます。当院ではそうならないように、予防を重視し、皆様の歯をそのままの状態で長く保ちたいと考えています。むし歯の治療が終わったら通院を止めてしまわずに、予防のための検診にお越しください。
歯科検診や初期むし歯のフッ素塗布などの予防処置は無駄なような気がする人も多いのではないでしょうか。確かに何の疾患もないのに、費用がかかるのは受診する気が進まないかも知れません。
しかし、定期的に検診を受けることで、まだ大きな治療が必要ない段階で疾患の予兆に気付くことができます。
それによってブラッシング方法を変えたり、食生活を見直したりすれば、治療費の節約にもなります。 毎日のケアと定期的な歯医者への通院を行うことは面倒に思えるかもしれませんが、習慣化してしまえば大した負担ではありません。予防歯科は長い目で見ると安い費用で歯の寿命を全うでき、一石二鳥でもあるのです。
歯の定期検診で行うチェック
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