歯周病は歯周組織が細菌によって徐々に破壊されていく病気です。目に見える症状としては、歯磨きのときに歯肉から血が出ることがあります。痛みは症状が悪化するまでほとんどありませんが、痛くなったら既にかなり病気が進行している証拠です。止む無く抜歯処置を受ける原因となる、隠れた病気なのです。自覚症状は歯肉の腫れ、出血、食べ物を噛んだときの痛み、口臭、歯がグラグラする、歯肉の膿みなどがあります。
歯肉が腫れて柔らかくなってきたら、歯周病の初期症状である可能性があります。なるべく早めに歯医者に行って、スケーリングやクリーニングを受けるようにしましょう
歯周病にかかった歯肉は外から見ると、腫れているだけに見えます。しかし、内部では徐々に歯周組織が破壊されていっています。この歯周組織は複数の組織からなる複雑な構造をしていて、歯の働きを支えるのに不可欠な存在です。歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨の4つそれぞれに役割があります。たとえば、歯根膜は歯に噛みごたえを伝えるほか、侵入してきた細菌と戦うこともあります。歯槽骨は歯を支えている骨です。
歯周病が悪化すると、最後は歯槽骨も吸収されます。痛みがなく、進行に気付きにくいため、歯肉が腫れてきたら定期検診を受けることをお薦めします。
歯周病の直接の原因は歯周病原細菌です。この細菌は嫌気性といって空気を嫌い、歯垢や歯石に潜みます。
そして、歯肉と歯の隙間に歯石が溜まることで歯周組織に侵入します。歯石は歯垢が石化したもので歯磨きでは取れないため、歯医者で定期的に歯石除去を受けることをお薦めします。歯石を除去し、歯垢を溜めないようにすることで、歯肉の状態は次第に回復します。特に初期であれば元通りに戻すことが出来ます。
歯周病原細菌はお口の中だけに悪影響を与えるのではありません。全身疾患の症状にも害を及ぼすことがあることが分かっています。
たとえば、糖尿病と歯周病にかかった患者に細菌を殺す抗生物質を服用させたところ、血糖値をコントロールする物質が増えるなどの改善があったと報告されています。また、歯周病原細菌は動脈硬化を誘導する物質を出すと言われていますが、これは狭心症や脳梗塞の原因ともなりかねません。
さらに歯周病はお年寄りにも悪い影響をもたらします。それは歯周病原細菌が肺に入ることが誤嚥性肺炎の原因になり得るということです。このように歯周病は他の疾患を引き起こすおそれもあるため、早期に治療と予防に注力することをお勧めします。
歯周病は基本的に歯垢と歯石を除去することが治療となります。重度の場合はそれらに加えて、細菌に冒された部分の除去や歯周組織の再生治療を行うことがあります。
スケーラーというフック状の先端になっている器具で、歯に付いた歯石を落とします。歯石は歯肉の近くに付着していることが多いため、ちくちくと感じる場合がありますが、重度でない限りは無麻酔で行います。
歯周ポケットの奥深くまで入り込んだ歯石は、麻酔をした上で取り除きます。歯石が歯の根元のまで付いている状態です。歯周ポケットをきれいにすることで、徐々に歯肉の状態が改善していきます。
ルートプレーニングでも取り除けないほど歯石が深くまで広がっている場合は、麻酔をした上で歯肉を切開し、歯石除去を行います。術後は縫合をします。侵襲が大きいことと歯肉退縮のおそれがあるという点がデメリットです。
歯周病の進行度合いを検査するには、歯と歯肉の間にある歯周ポケットの深さを測ります。3mm以内であれば正常ですが、それよりも深ければ治療が必要です。他には歯の動揺度、出血の有無を診ます。
検査結果から炎症が見られる部分を診断し、治療計画をお伝えします。同意いただけますと、実際に治療に入ります。
ブラッシングはプラークコントロールの一つの手段です。不適切なやり方をしていると、汚れはどんどん溜まっていきます。歯垢染め出し液で歯垢がどれだけ付いているか確認しながら、適切なブラッシング方法を指導します。
歯の歯肉付近にこびり付いた歯石をスケーラーという特殊な器具で取っていきます。歯石は歯磨きでは落とせませんので、歯医者でスケーリングを受けるようにしてください。
スケーリングが終わったら、再度歯周ポケットの検査を行います。軽度であればこの時点で改善しているため、治療終了となります。
症状が進行している場合は、歯肉の縁のところにこびり付いた歯石をスケーラーで除去します。深いところにある歯石はルートプレーニングで落とします。
再度歯周ポケットの検査を再度行います。歯周病中等度であれば、ここで改善が見られます。重度の場合は次に外科治療を行います。
治療が全て終わったら、歯肉の状態は徐々に良くなっていきます。歯肉が治癒したら、定期的に通院いただくメンテナンス期間に入ります。
歯の神経に達したむし歯は根管治療を行えば、抜歯を免れることができます。この処置を根管治療と言います。根管治療はむし歯が歯髄以上に進行しないように消毒する方法です。抜歯をする前に行うことが出来る最後の治療と言えます。根管治療をした歯は強度が落ちますので、もしも治療後に歯根破折などが起こった場合は抜歯となってしまいます。
むし歯が歯根まで進行し、歯肉に膿がある場合も抜歯するしか手立てがありません。
根管治療はむし歯菌に冒された歯髄を除去し、薬を詰め、被せ物をする治療です。歯髄は根管と呼ばれる歯の根にある血液と血管からなる組織のことです。歯の根は複雑な形状をしており、本数も決まっていないため、全ての根を見つけ出し、しっかりと消毒を行うことが大事です。
むし歯菌を取り残してしまうと、被せ物をした後で再びむし歯が悪化するおそれがありますので、複数回に分けて消毒をします。
神経を取り除き、根管の長さを測定します。
根管の中を丁寧に洗います。むし歯菌に冒された歯質を除去します。
むし歯菌が残らないように、薬剤で消毒をします。
薬剤を根管の先端まで詰めます。
歯根の上部に土台を置き、クラウンを装着します。
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