2022年12月15日 (木)
「歯並びが気になる」とご相談をいただきました。
診察したところ、左上の歯ぐきに、あごの骨の中に溜まった膿が出て行く穴である「サイナストラクト」が見られました。これにより、左上の乳歯(第1乳臼歯/D)が手前の歯(乳犬歯/C)に向かって生えており、今後、永久歯(左上第1小臼歯/4番)がうまく誘導されず、正しい位置に生えない可能性がありました。
また、上あごは深く高さがあり、本来上あごに触れているはずの舌が下がってしまう「低位舌」の状態でした。そのため、口呼吸や、上あごがうまく成長できず歯が並ぶスペースが不足して、歯並びの悪さにつながっていました。将来的に噛み合わせや歯並びが悪くなり、虫歯の発生リスクが高くなる可能性もお伝えしました。
他にも、上の前歯の歯ぐきにあるスジ(上唇小帯)が歯に近い「上唇小帯付着異常」が見られました。この影響で永久歯の前歯2本(左右中切歯/1番)が、ハの字に開いて生えてきていました。
上唇小帯は、ブラッシングの際に邪魔になるため磨き残しにつながり、虫歯や歯周病の原因にもなるため、切除を検討する必要があることをお話ししました。
下の前歯(左右中切歯/1番、左の側切歯/2番)もねじれて生えていました。
上あごは、横幅(歯列弓)を広げてスペースを確保する固定式装置「急速拡大装置」と、あごの骨を前下方へ成長させて高さを抑える装置「前方牽引装置」を用いた治療をご提案。また、下あごは針金を曲げて左右の奥歯に引っ掛け、歯の裏側に沿わせてアーチ状にして用いる矯正器具「リンガルアーチ」での矯正をご提案しました。
急速拡大装置を使うと、高かった上あごも低くなるため、舌が上あごに触れている正しい位置に改善できます。あわせて、舌や唇などお口周りの筋肉のトレーニング「あいうべ体操」に取り組んでいただきました。あいうべ体操は、口を閉じやすくし、低位舌を改善して気道を広げることで鼻呼吸を促し、矯正後の歯並びの後戻りを防止できます。
現在はまだ治療途中ではあるものの、低位舌が改善されて気道が広がり、上あごも広く浅い形になってスペース不足はほぼ解消されました。
また、 上あごの骨が前方へ正しく成長したことにより、上唇小帯付着も切除せずに済みました。
今後も定期的に経過を観察していく予定です。
・矯正中は発音しにくい場合があります。
・歯の移動に伴って、お口の中で違和感や痛みを感じる場合があります。
年齢・性別:9歳女の子
診療種別:自由診療
治療期間の目安:3年10か月
治療費総額の目安
初期費用:430,000円
処置料:5,000円/月
カテゴリー: 未分類
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