2023年2月20日 (月)
「左上の奥歯が痛い。歯ブラシの時に、全体的に出血する」とご相談をいただきました。
診察したところ、歯肉が全体的に腫れていて、出血も見られました。
患者様は高血圧の持病があり、服用されている血液がサラサラになる薬の副作用と、歯ブラシでの清掃不足が原因で、歯肉が腫れあがる「歯肉増殖」が起きており、「重度歯周病」と診断しました。
全体的に基本検査をしたところ、歯周ポケットが深く、歯の表面や歯周ポケット内側には細菌の塊が石のように硬くなった「歯石」が付着しており、プラークも多くついていました。
患者様は「出血するので歯ブラシをしない」など、歯とお口の健康への関心・意識の度合い「デンタルIQ」が低めでした。
また、右下の奥歯(第2大臼歯/7番)と左下の歯(第1小臼歯/4番)と左上の歯(第1小臼歯/4番)には、歯周病により歯を支える骨である「歯槽骨(しそうこつ)」が溶けて減少している「歯槽骨吸収」が見られました。
抜歯の可能性をご説明したところ、患者様は「歯をあまり抜きたくない」とご希望されました。
歯周病が進行していた左上の歯は残すのが難しいことをご説明し、患者様に同意いただけたため抜歯しました。
その他の歯はなるべく長く残せるよう、歯周病治療をご提案しました。
まずは、ブラッシング指導での徹底したプラークコントロールと、スケーラーで歯の表面の歯石を取る「SC」を行いました。また、局所麻酔である「浸潤麻酔」を使用し、歯周ポケットの中の歯石を専用の器具で除去する「SRP」を行いました。
歯周ポケット内側には歯石が多かったのですが、患者様は嘔吐反射が強めで服用中の薬もあり、患者様の身体的・精神的ご負担を軽減するため、SCやSRPを行う際には口腔内の水をこまめに吸い、SRPは7回に細かく分けて全体的に実施するなど配慮しました。
3ヶ月後に歯茎の状態を確認し、再度SRPを行いました。
また、普段の歯ブラシの時は、ブラシが小さいものをお勧めしました。
治療が進むにつれて歯ブラシの重要性をご理解いただき、デンタルIQも高くなったことで、歯肉を切って歯石を取る手術「 FOP(歯肉剥離掻爬術/しにくはくりそうはじゅつ)」をすることなく、歯肉の状態が大きく改善しました。
歯肉が全体的に引き締まり、腫れが改善しました。
患者様も「歯ブラシの時の出血が無くなった!」と喜んでいただいています。
今回抜歯せずに残した右下の奥歯と左下の歯については、腫れや痛みなどの症状が出ていないか、3ヶ月ごとの定期検診で経過を観察中です。
・症状や病状、お口の中の環境によって施術回数が変わる場合があります。
・歯周病治療を中断してしまうと、十分な効果が得られない場合があります。
・治療中や治療が終わった後も十分なセルフケアが必要です。適切にケアがされない場合、歯石の付着による歯茎の炎症や虫歯が生じる可能性があります。
■年齢・性別
70代男性
■診療種別
保険診療
■治療期間
約9ヶ月
■およその費用
6,410円(保険診療の1割負担)
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