2023年1月13日 (金)
「6年以上前に上あごのブリッジを作ったが、3ヶ月ほど前から歯茎に痛みが出て、触るとグラグラする。
また、ブリッジの裏側の平面部分が湾曲していたり突き出ていたりと違和感がある。
入れ歯は使いたくないので、インプラントも含めて治療方法を相談したい」とご来院いただきました。
拝見したところ、上あごに装着されていたメタルセラミックブリッジの適合不良で隙間ができており、その隙間から再び虫歯になって痛みが出ていました。虫歯の中には歯の根っこまで炎症が広がっているものもありました。
また、違和感はブリッジが大きすぎること(形態不良)が一番の原因でした。メタルとセラミックの二重の厚みが出ており、セラミックは厚くしないと割れやすいのでさらに分厚く大きくなっていました。
下あごに関しては、左の奥歯2本(第2小臼歯/5番と第2大臼歯/7番)がなく、それぞれ隣の歯(第1小臼歯/4番と第1大臼歯/6番)が歯がない場所に倒れるように傾いていました。そのため、噛み合わせが悪く、虫歯や歯周病のリスクも高い状態でした。
全体的に歯茎も腫れていたので歯周検査をしたところ、中度の歯周病で、歯茎の下には細菌の塊が石のように硬くなった「歯石」も見つかりました。患者様は「歯磨きの時、痛いのであまり歯ブラシを当てられていない。出血もある」とおっしゃっていました。
「入れ歯を入れたくない」との患者様のご希望に沿って、上のブリッジを外した後の部分と下の欠損部分の治療方法として、人工の歯を埋め込んで自分の歯のように噛めるようになる「インプラント治療」、新たにブリッジを作製する方法をご提案したところ、患者様はブリッジでの治療をご希望されました。
まずは虫歯がある歯の治療と、歯の根っこまで炎症が起きている歯には根っこの中をきれいにする「根管治療」を丁寧に行い、可能な限り患者様の天然歯を温存できるよう努めました。
倒れていた左下の奥歯は、より健康的で長持ちさせる治療方法として、矯正用のアンカースクリュー(ミニインプラント)を用いた部分矯正によって歯を起こして歯並びを整えてから、ブリッジで修復することにしました。部分矯正で歯をまっすぐに戻すことでブリッジの支台として使えるようになり、歯を削る量も減らせました。
歯周病治療も並行して進めました。 ブラッシング指導では、患者様はブラシ圧がもともと強めだったので、圧が強くならないようにやさしく磨いていただくことをお伝えしました。
その後、麻酔を使用して歯茎の下の歯石を除去し、炎症を抑えていきました。歯周病治療を終えるころには歯茎の赤みはなくなり、出血も少なくなりました。
ブリッジの素材には、「金属が目立たず、白くて丈夫なものがいい」との患者様のご要望に沿って、天然歯のような自然な白さで耐久性もある「ジルコニアセラミック」を選択しました。仮の歯を作り、見た目と使い心地を確かめていただいた後、最終的な被せ物を装着して治療を終了しました。
新たに作製したブリッジの噛み合わせや使用感に問題はなく、しっかり噛めるようになりました。
患者様のブラッシングも良く、歯茎の腫れは改善されて、とても安定した口腔内が維持できています。
左下の奥歯がまっすぐきれいな歯並びになったことも、患者様に大変ご満足いただけています。
もともと笑顔が素敵な患者様ですが、治療後は表情がより一層明るくなって素晴らしい笑顔を見せていただけるようになり、
私共もとてもうれしく思います。
今後は、2ヶ月に1度の定期検診でメンテナンスや嚙み合わせの状態を細かくチェックして、
ジルコニアセラミックブリッジが長期的に使えるようサポートしていきます。
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります。
・治療が終わった後も、十分なセルフケアの他に、当院でのメンテナンスが必要です。 怠った場合は、虫歯や歯周病のリスクが高くなる可能性があります。
■年齢・性別
50代女性
■治療期間
約1年半
■およその費用
総額:約2,505,000円
<内訳>
診断料:15,000円
矯正等:780,000円
ジルコニアセラミックブリッジ:1,710,000円(90,000円×19本)
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