2023年1月11日 (水)
「左下の奥歯が痛いので診てほしい」とご来院いただきました。
レントゲン撮影をしたところ、左下の奥歯(第1大臼歯/6番)の根っこの周りに炎症が起こり膿が溜まっている「根尖病巣(こんせんびょうそう)」が確認でき、状態が良くありませんでした。
患者様に詳しくお伺いしたところ、「以前他院で親知らずを左下の奥歯へ移植する治療を行ったが、移植した歯がグラグラして痛くなってきた」とお話しいただきました。
また、左上には親知らず(第3大臼歯/8番)がありましたが、噛み合わせの歯が無いため、抜歯しても問題のない歯でした。
痛みが出ている左下の奥歯を抜いてから、残っている左上の親知らずを移植する「自家歯牙移植」をご提案しました。
左下の奥歯は状態が悪く寿命が短いことや、自家歯牙移植は比較的負担の少ない治療であることをレントゲンを用いて丁寧にご説明し、患者様に同意いただきました。
当日は左上と左下の歯ぐきに麻酔を行い、左下の奥歯、左上の親知らずの順に抜歯し、そのまま移植を実施しました。
他院で移植した左下の奥歯の周りには炎症を起こしている組織の「不良肉芽」が多く付着していたため、抜歯した際に十分にかき出して、新しく移植する歯がしっかり定着するように努めました。
移植する歯に神経が残っていると、根っこの周りに感染が起こる可能性が高くなるので、神経を除去する治療も同時に行いました。
最後に傷口を縫うための「縫合糸」で移植した歯を固定し、1週間後に消毒を行うとともに経過を診たところ、痛みなどの症状は出ておらずお口の中の状態も問題ありませんでした。
縫合糸が自然に取れていて抜糸は必要なかったため、また2週間ほどあけて診察し、特に炎症なども見られず良好な状態でした。
その後移植した歯に、しなやかさがあり根っこへの負担が少ない土台「ファイバーコア」を入れ、強度があり自然な白さの「ジルコニアセラミック」の被せ物を装着しました。
痛みや炎症が起こることなく、良好に経過しています。
患者様にも「移植した歯でしっかり噛めるようになった」と大変ご満足いただいております。
現在は定期的なメンテナンスでご来院されており、移植した歯を長くお使いいただけるよう努めています。
歯磨きや定期的なメンテナンスを行わないと、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
年齢・性別:30代女性
診療種別:保険診療・自由診療
治療期間の目安:9か月
治療費の総額の目安:移植(保険適用で3割負担) 5,230円
ジルコニアセラミック被せ物 90,000円×1本
カテゴリー: 未分類
Copyright (C) Apple dental clinic,all rights reserved.